アメリカと中国の関係悪化に伴い、話題になっているファーウェイ。ファーウェイを使うにはリスクがあるという噂もある中で、ファーウェイ製のWiMAXを使って問題はないのか、これから使う場合、危険性はないのか解説していきます。またファーウェイ製品は他社製品と同じように使えるのか、他社製品でおすすめのWiMAXはあるのかについてもご紹介します。
WiMAXでファーウェイは危険という噂の原因は?
WiMAXでファーウェイにリスクがあるという噂は、何が原因で流れたのか、本当にファーウェイのWiMAXは危険なのかについて解説します。
結論から言うと、現時点ではファーウェイのWiMAXを使っても危険とはいえません。しかし今後もリスクがないと言い切れるかは現時点ではわからず、危険性はなくともファーウェイ製品を使うことで不便を感じる場面もでてくるでしょう。
ファーウェイは危険と言われる原因と理由、ファーウェイ製品を使うことで不便を感じる可能性があるのはどんなときかをお伝えします。
アメリカとHuawei(ファーウェイ)などの中国企業とのサービスの関係が悪くなったことが原因
まず1つ目の原因として、アメリカと中国企業の関係が悪くなったことがあげられます。アメリカからファーウェイへの輸出規制や、様々な企業がファーウェイとの取引停止を表明しました。こうした関係悪化を受けて、「ファーウェイは危険」という噂が流れるようになったのでしょう。
中国の情報局との関係性を疑われていたファーウェイは、長い間関係性を疑う声を否定し続けてきました。
しかし長年の否定もむなしく、アメリカとファーウェイの関係は悪化し続け、ついにはトランプ大統領の公式声明によってファーウェイは窮地に立たされることになったのです。
トランプ大統領による「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」
2つ目の原因は、アメリカのトランプ大統領が2019年5月15日に「情報通信技術とサービスのサプライチェーンの保護に係る大統領令」に署名したことです。これにより、アメリカの商務省もファーウェイや関連企業への輸出を禁止しました。
上記を受けてGoogleやAmazonなどのインターネット関連の大手企業がファーウェイ製品で自社サービスが利用できなくなり、端末を作るのに必要な様々な部品を製造するメーカーもファーウェイとの取引を停止しました。
例えばAmazonはファーウェイの製品の取り扱いを一時やめており、ファーウェイはかなりの痛手を受けたことでしょう。
Googleがファーウェイの端末にアプリ提供をしないと発表
そしてファーウェイ製品に不便を感じる原因に拍車をかけたのは、Googleがファーウェイの端末にはアプリを提供しないと発表したことです。
【Googleのアプリ】
- YouTube
- Google Chrome
- Google マップ
- Gmail
スマートフォンを使ってインターネットで検索するとき、ほとんどの方が「Safari」か「Google Chrome」を利用するでしょう。また「Gmail」はフリーメールとは思えないほどセキュリティ性が高く、個人だけでなく仕事で使う方も増えてきています。他にも「Google ドキュメント」や「Google スプレッドシート」などは、ワードやエクセルと比べても遜色ない機能ですし、インターネット上で簡単に共有できるので便利です。
またYouTubeもGoogleが買収したため、運営母体はGoogleです。「Google ドキュメント」などはパソコンで使うとしても、少し動画が見たいときは、スマートフォンでYouTubeという方が多いでしょう。
Googleは検索エンジンだけでなく様々なアプリや便利な機能を提供しているので、インターネットを使う上でGoogleのアプリが使えないということは考えられないと言っても過言ではありません。
その他のメーカーも部品提供を停止した
Google以外にも様々なメーカーがファーウェイとの取引を停止し、部品提供をとりやめました。
【ファーウェイへの部品提供を停止した企業】
- ARM
- Lumentum Holdings
- ANALOG DEVICES
- Panasonic
上記はほんの一例ですが、ファーウェイとの取引中止を表明し、部品提供を停止した企業です。米政府の制裁措置に従ったという姿勢の企業もあれば、CEOなどが部品提供はしないと表明するなど積極的な姿勢の企業もあります。
スマートフォンやWiMAXを製造する上で、部品まですべて自社製造しているメーカーはほぼないでしょうし、ファーウェイももちろん様々なメーカーから部品提供を受けて端末を製造しています。
実際、2019年ではファーウェイのスマートフォンなどの製造は4,000万台の減産見込みです。ファーウェイにとって今後しばらくは厳しい状況が続くでしょう。
中国にある「国家情報法」
中国のスパイを懸念する姿勢もあります。その要因としてあげられるのが「国家情報法」という法律です。国家が企業に情報提供を命じた場合、企業は国家に対して情報開示をしなければなりません。
現時点ではファーウェイ製品にバックドアが見つかったなどはありませんが、今後どうなるかはわかりません。
ちなみにバックドアとは簡単に言うとパソコンやスマートフォンなどの端末に不正に入り込むために作られた、プログラム上の裏口のようなものです。バックドアがあることで端末に簡単に不正アクセスできるようになります。
今のところ、ファーウェイ製品が特に危険というわけではありません。しかし中国政府が情報開示を命じた場合、ファーウェイは断れないので、今後もファーウェイの端末を安全に使えるとは言い切れないでしょう。
WiMAXでファーウェイを使うことは危険なの?
WiMAXでファーウェイ製を使うことは現時点で危険とは言えませんし、特に不便を感じる場面もないでしょう。しかし今後も危険性がないとは言い切れないのが事実です。
なぜ今はファーウェイのWiMAXに危険性がないと言えるのに、今後はどうなるか分からないのか。ファーウェイのWiMAXを使い続けて本当に支障がないのかを、理由とあわせて解説します。
WiMAXはGoogleアプリを使うことはないので問題ない
まず、問題ない理由として、Wi-FiルーターであるWiMAXはGoogleのアプリを使うことがありません。そのため既に使っている方は、気にせず使い続けても特に支障はないでしょう。
スマートフォンであれば、Googleのアプリが使えないことでかなり不便を感じると思います。しかし、WiMAXそのものにGoogleのアプリを入れて操作をするということはありません。また、ファーウェイのWiMAXと接続している端末でGoogleのアプリが使えないということもないので問題ありません。
ただし、国家情報法のある中国では政府がファーウェイに情報開示を求めた場合、ファーウェイは断ることはできないとされています。セキュリティなど安全面が気になる場合は、開示を求めることも可能でしょう。
ファーウェイがWiMAXの事業から撤退する可能性はないとも言えない
しかし、ファーウェイがWiMAX事業から撤退するという表明などはまだありませんが、今後撤退する可能性がないとは言い切れません。
様々なメーカーがファーウェイへの部品提供を停止しているため、ファーウェイではWiMAXを含めた端末の製造自体が、今までよりも難しくなっているはずです。さらにセキュリティ面の不安などによって、今後の事業展開が見えなくなっているファーウェイを今から選ぶという人も少ないでしょう。
今後もファーウェイの経営は厳しくなっていくと思われます。ファーウェイがWiMAX事業から撤退する可能性がないとは誰も明言できないでしょう。
端末を利用すること自体に影響はない
いつ撤退するか不明という点での不安は残るというのと、セキュリティなど安定性を考えると、今からファーウェイのWiMAXを選ぶことはあまりおすすめしません。しかし既に利用している方は、気にせず使い続けて特に問題ありません。
Wi-FiルーターであるWiMAXはアプリを使わないので、Googleのアプリが使えないことによる影響はありません。既に使っているのであれば部品提供の停止の影響も受けませんし、出回っている端末でバックドアは見つかっていないので、セキュリティ面もあまり気にならないでしょう。
WiMAXのファーウェイの機器
安全性などの前提を確認したうえで、次にファーウェイ製のWiMAXにはどういったものがあるのかについて説明します。
【ファーウェイ製のWiMAX】
- Speed Wi-Fi NEXT W05
- Speed Wi-Fi NEXT W06
- Wi-Fi WALER WiMAX2+
上記は一例ですが、Speed Wi-Fi NEXT W05とW06が特に人気なので、使っている方も多いでしょう。
WiMAXは製造メーカーと販売店が違うので、今までファーウェイ製だと知らずにWiMAXを使っていた方もいるかもしれません。例えば、お得なキャンペーンが多いことで人気のGMOとくとくBBで扱っているWiMAXは、「Speed Wi-Fi NEXT WX05」と「WiMAX HOME 01」以外はファーウェイ製です。
今からWiMAXを使おうという方には、NEC製の「Speed Wi-Fi NEXT WX05」がおすすめです。
WiMAXで使えるファーウェイ以外の機器
さらに、WiMAXで使えるファーウェイ以外の機器を紹介します。
ファーウェイのWiMAXで特に人気なのが「Speed Wi-Fi W05」と「06」ですが、ファーウェイの人気WiMAXに代わる機器はどんなものがあるのか、ファーウェイ製品と何が違うのかをお伝えします。
ファーウェイの製品を使うことが気になる場合はNECを利用する
ファーウェイの製品を使うことに抵抗があるなら、NECの製品を利用しましょう。
「Speed Wi-Fi NEXT 06」はファーウェイ製ですが、名前が似ている「Speed Wi-Fi NEXT WX05」はNEC製です。
【Speed Wi-Fi NEXTシリーズ】
下り最大速度 | 上り最大速度 | 製造メーカー | |
Speed Wi-Fi NEXT W05 | 758Mbps | 30Mbps | ファーウェイ |
Speed Wi-Fi NEXT W06 | 1.2Gbps | 30Mbps | ファーウェイ |
Speed Wi-Fi NEXT WX05 | 440Mbps | 30Mbps | NECプラットフォームズ株式会社 |
※最大速度はWiMAX2+を利用したハイスピードモードでの速度
下り最大速度は、データをダウンロードする際に出せる最も早い速度のことで、動画や音楽などのコンテンツ視聴やWebページの閲覧に関わる速度です。上り最大速度は、ファイルのアップロードなどに関わる速度です。表の速度はあくまで最大速度であり、常に最大速度が出るわけではありませんし、一般的に30Mbps以上出ていれば快適にインターネットが使えるといわれています。
WX05の方が若干下り最大速度が低いですが、気にする必要はほとんどないでしょう。
現段階でファーウェイのWiMAXは安全、噂に流されず正しい判断でWiMAXを選ぼう
ファーウェイのWiMAXが危険だという噂は、アメリカとファーウェイの関係悪化が原因で流れ始め、トランプ大統領の公式声明とアメリカ商務省による輸出規制がさらに拍車をかけました。また完全に根も葉もない噂というわけでもなく、今後ファーウェイ製品に危険性が出てくる可能性や、ファーウェイ製品の利用に不便がでてくる可能性はあります。
しかし、現時点ではファーウェイのWiMAXを使っていても危険性はありません。またGoogleのアプリはファーウェイのスマートフォンで使えなくなりますが、Wi-FiルーターであるWiMAXではアプリが使えないことによる影響はありません。
既にファーウェイのWiMAXを使っている方は、今後も使い続けて問題ないでしょう。
しかし、どうしても気になるという方には、NEC製の「Speed Wi-Fi NEXT WX05」を利用するのもいいでしょう。
噂に流されず、ファーウェイに何が起きているのかをきちんと把握し、WiMAXを選んでみてはいかがでしょうか。